大判例

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東京高等裁判所 昭和52年(う)2591号 判決

被告人 山崎勇

〔抄 録〕

一、原判示第二の(一)、(二)の事実につき刑法二四九条一項を適用した原判決に法令適用の誤りがあるとの主張について。

所論に鑑み、調査してみると、関係証拠上、原判示第二の(一)の金銭借用証書、(二)の金員預り書を作成したことにより被害者が債務を負担したものとは認められないから刑法二四九条二項の恐喝罪が成立する余地がある旨の所論は採用の限りではないが、さりとて、右の各書面は、その作成の経緯についての原審取調べの証拠に立脚する限り、財物に該当するとは認め難く、これらを作成交付させた行為は、別罪に当る余地はあっても、刑法二四九条一項の恐喝罪に当るものではないから、恐喝罪を公訴罪名とする公訴事実をそのまま認定した原判決は、審理不尽により事実を誤認し、法令の適用を誤ったものである。

二、原判示第二の(一)、(二)及び第一の所為を併合罪とした原判決には法令適用の誤りがある旨の主張について。

所論に鑑み調査してみると、「被害者荒井郁夫から債権取立を依頼されたが、同人の話が不正確であったため右取立が不成功に終ったとしてこれに因縁をつけ二〇万円の金員を喝取する意図で」昭和五二年三月二五日に原判示第二の(一)の所為が、同年四月六日に同第二の(二)の所為が被告人単独でなされ、更に「同様の意図のもとに」同年四月二八日同第一の所為が、原審相被告人柏と共になされたことは、原判決の認定しているところであるが、原審記録及び原審取調べの証拠に鑑みる限り、単一の意思遂行としての行為が、連続して同一被害者に対し行なわれたものであると認められ、これと異なる特段の事情を証する証拠のない限り、これらは一括して原判示第一の恐喝未遂の一罪を構成するものと解せられるから、これらを併合罪とした原判決は、審理不尽の結果法令の適用を誤ったものである。

(木梨 時国 柴田)

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